誠に不本意ではございますが、その求婚お受けいたします



え、嘘、3時!?
そんな時間までここで寝てしまっていたの?


「どうしたんだ、酒なんか飲んで。店も片付いてないし、何かあったのか?」

「い、いえ……これはその」


やだな、よりによってこんな姿を見られるなんて恥ずかしい。
旦那の不在にハメを外す典型的な……?
待って、私、顔とか大丈夫かな? 髪の毛もぐしゃぐしゃになっているのでは?


「なんでもないんです、ちょっと疲れてたみたいで」

「グラスも割れてるじゃないか、酔っ払いでも来たか」

「そ、そうなんです! その相手が大変だったので……」


嘘だけど、全部嘘じゃない。
今日は精神的にも体力的にも大変な1日だったように思う。
散らかったままのグラスの破片がキラッと光った。


「片づけますね」

「いや、危ないから俺がやる。ホウキとちり取りは?」

「そんな、私がします」

「いいから、ホウキとちり取りはどこにある?」

「……そこの奥の部屋です、ちょっと分りにくいところにドアがあるんですけど」

「あぁ、お仕置き部屋か」


え……今、なんて――――?


「律さん、あの」

「何だ、俺がやるって言ってるだろ」

「どうして、そこの部屋がお仕置き部屋って知っているんですか?」