誠に不本意ではございますが、その求婚お受けいたします



そんなことを考えながら珈琲メーカーに豆をセットしていると、マンションの受付と繋がっている内線が鳴り、コンシェルジュさんから私宛に宅配物があることを知らされた。

インターネットで注文したものなんてあったっけ?

しばらくして、宅配業者が宅配物を持って部屋まで来た。
それを受け取った瞬間、「あっ!」と、大声を出してしまった。


「どうした?」


お父さんとの通話を終えたらしい律さんが何事かと、顔を覗かせた。


「あ、すみません。びっくりして」

「どうして驚く?」

「だって……」


今年はもうないと思っていたから。
宅配物は、百合の花をメインとした花束だった。
差し出し人は、『シンお兄ちゃん』。
私が9歳になった頃、パタリと交流がなくなったシンお兄ちゃんだったけど、私の誕生日には必ず、私の好きなお花を贈ってくれているのだ。

だけど、結婚してしまって苗字も変わったし、住所も変わったのに。
どうしてここが分かったのだろう――?


「嬉しくない相手からか?」

「え? いえ、そんなことないです! 嬉しいです。とっても」


びっくりしたけど、すごく嬉しい。
私の誕生日を毎年忘れずお花を贈ってくれる律儀さも、毎年違う花を選んでくれるのも。
すごくすごく嬉しい。
シンお兄ちゃん、ありがとう。