それにしても。
律さんと一緒に外を歩くなんて、変な感じ。
普段だったら、絶対もっと早歩きしているはずなのに、私に合わせてくれているのかな?
ゆっくりとした歩きで、レストランを目指す。
その途中――。
『ねぇ、見て……』
『かっこいい! モデルさんかな?』
どこからともなく囁き声が聞こえてくる。
今日の律さんはテーラードジャケットに丸襟のシャツを合わせていて、カジュアルなんだけど清潔感もあってスマート。
すれ違う女性たちが彼に注目するのも納得だ。
そんな彼の隣で、不意に果歩が言った『身も心も本物の妻に……』という言葉が頭の中で蘇った。
そしてその勝負アイテムとして、今私の手には赤い下着が……。
「おい、どうした? 顔が赤いぞ」
「えっ! うわっ」
律さんが私の顔を覗き込んだことに驚き、バランスを崩して転びそうになった。
やばいと思った瞬間、強く肩を掴まれそのまま彼の方に体を引っ張られる。
気付けば、律さんの喉ぼとけが視線のすぐ先にあり。
目がクラクラした。
「危ないな、具合でも悪いのか?」
「いえ……そういうわけじゃ」
沈まれ、心臓。
このときめきは、不慮の事故だ。
決して律さんそのものに、ドキドキしているわけでは……。
「身体が熱い。汗もかいているようだな。具合が悪いならそう素直に言えばいいだろ、無理をする必要がどこにある」



