「俺が思わせぶりだって?」
ぶっきらぼうモードに入りとぼける律さんに、負けじと言い返す。
「そうですよ、違いますか?」
――それが、まずかったようで。
律さんは先ほどとは別人のように態度を変えた。
そして、私の手を掴み顔の位置まで持ち上げる。
「百花の言う”思わせぶり”っていうのは、これか?」
「……」
「今どき、中学生でもこれくらいじゃ勘違いしないぞ」
「勘違い……」
「俺はただ落ち込んでいる妻を励ましていただけだ。婚姻中は夫として責務を果たすという約束だからな」
「……あくまで契約ですか?」
「そうだ」
もしそれが本当だと言うなら、
今、言ったことを信じろというなら、
過度な期待をするな、勘違いをするなっていうなら……。
「手、離してください」
口では”好きじゃない”っていうくせに、掴んだ手を離そうとしない。
絡み合った視線を逸らそうともしない。
律さんの本心はどこにあるのだろう?
どうして、素の心を見せてくれないの?



