「ごめん、私、好きだった。ちゃんと好きだったの、ハルのこと」


そう言うと、困った顔をしたハルがゆっくり口を開いて


「それは、友達としてじゃなくて?」


「ううん。ごめんね。だからもう会わない」


泣きながら言う私にハルは優しく抱きしめて

「ひとりの人を好きになれないって知ってるくせに、ずるいな、マヤは」

そう言った。


ハルの腕の中で眠ったのはその日が最後だった。






「私の連絡先、消してほしい」




こうでもしないと、私は彼の声が聞きたくてたまらなくなってしまうから。


「うん、わかった。」


すんなり消すハルを見てほっとした。
もし、引き止められてたら私は泣き崩れて壊れるところだった。
冷静なのは、ハルだけだった。




「ねぇ、俺と出会わなきゃよかった。って思ってる?」