「酔っ払ってる...?」
「酔ってるのはマヤ。俺は真剣に言ってるよ。」
「だ、だって、相席行けなくなっちゃうよ?」
「いらないよマヤがいるもん」
「アプリだって」
「もういらない」
「歯ブラシだって」
「捨てた」
「私は...」
「俺が全部知ってもらってる安心と一緒にマヤは全部知ってる不安があるんだよね?」
「うん...」
「だから考えてほしい。真剣に向き合ってほしい、俺と」
そう言われ、家の合鍵を渡された夏の夜。
「後悔させないから。」
そう抱きしめられながら眠りについたのは、さよならしたあの日以来だった。
