「狼くん、お風呂にしますか? ごはんにしますか? それとも────」

「風呂」




授業は同じ時間に終わったはずなのに、なぜか私のほうがずっと帰ってくるのがはやかった。

だから、もうお風呂もごはんも準備はばっちり。




……それにしても、ずいぶんと遅いお帰りだったけれど、狼くん、いったい何をしていたんだろう。




まさか、私と顔を合わせるのがいやで、遠回りしてきた、とか……。

自分で考えておきながら、自分の首をしめてる。ふつうにいちいち落ちこんじゃう。

しかも、きっと、っていうかぜったいそうな気がするんだもん。




『お風呂にする?ごはんにする?それとも────』の決まり文句はみなまで言わせてもらえず、食い気味にかぶせてきた狼くん。



気を取り直して。




「お風呂ですね……! 今、沸きあがったところなので、ほかほかの一番風呂ですよっ」

「……」

「では、お夕飯は、お風呂のあとにしますか?」