狼くん、ふれるなキケン!



そんな私に狼くんが目を細める。

怪訝そうにしているから、補足のために口をひらいた。



「パパの仕事が一旦落ち着いたので、家族みんなでここに戻ってくることになったんです。ただ、引越しの準備とか、お仕事の引き継ぎとか……まだ、しばらくかかりそうってことで、私だけ一足先に戻ってくることになって────」



パパたちは、きちんと身の回りが落ち着いてからがいいよねってことになったの。


ただ、私は学校があるもの。

そんなにうだうだしてはいられないということで。




「狼くんママのご厚意で、パパたちが戻ってくるまでの間、おじゃますることになりました」



……ということです、と話をしめくくった私だけど、狼くんは案の定、というか何も言わずに無言でつんとした表情を浮かべている。


私は改めて、狼くんママに向き直って。




「あの、しばらくお世話になりますね」





ぺこり、頭を下げた。