あまりに場にそぐわない険しい顔をしているから、ちょっとおかしくて。
じわじわ込み上げてくる面白さをこらえていると。
「あ、そうそう。狼、ひなちゃんしばらく我が家で預かることになったのよ」
「……」
狼くんママの言葉に、狼くんは無言のままいっそうシワを深めた。
……あ、その顔。
知らなかった、って表情だよね。
初耳だって驚いたとき、その顔をするの、私、知ってるよ。
────ということは、だ。
狼くん、知らなかったんだ。
私がこっちに戻ってくることも、しばらく藤川家にお世話になるということも。
ええ、てっきり狼くんママから話は伝わっていると……、って狼くんママの顔を伺うと、いたずらがばれた子どものような顔でテヘペロって。
「ちょっとしたサプライズよっ、サプラーイズ」
悪びれず笑う狼くんママ。
おちゃめなところも変わっていないな。
思わず、ふふ、と笑みがこぼれて。



