無口を極めていた狼くんがわざわざ口を開くなんて。



やっぱり断られちゃうのかな、「ひぃちゃんとふたりなんて無理だ」って……、違うな、今はもう “ひぃちゃん” じゃないんだった。




私は、ぜんぜん、いいのに。

ふたりでも……狼くんとだから、いいって思うのに。




そうして、またうつむきかけたとき。






「心配しなくても、ふたりでなんとかする」

「……へ?」





話しかけられたのは狼くんママなのに、いちはやく反応したのは私の方だった。

だって、まるきし予想外だったから。

思わず狼くんのほうを二度見する。





「だよね、狼ももう大人だもんね! ママ頼っちゃう!」




にこにこ答える狼くんママとちがって、私はおろおろしていた。




え……いい、の?
狼くん、私となんてぜったいイヤでしょ?

てっきり、今だって、そんなの無理だって一蹴されると思ってた。





慌てつつ、狼くんの顔色をうかがうけれど、まったくの無感情でそこからはなにも読み取れなくて。