狼くん、ふれるなキケン!



「ほらゆっきー、ひなちゃん困ってんじゃん」

「元はというと真矢が……!」

「ゆっきー、落ち着いて、どうどう」




またもやまやくんに掴みかかろうとしていた女の子だったけれど、まやくんにいなされて留まった。

口をはさむだけの余裕ができたので、聞いてみる。




「あの、こちらの方は……」




先ほどから、まやくんに「ゆっきー」と呼ばれている女の子。


私の問いかけに反応して、こちらに向き直ってくれたかと思えば、ぺこりとしっかりおじぎまで。




「はじめまして、道枝 小雪(みちえだ こゆき)です。ええと……はじめましてというか、さっき教室でいちおう会ってるんだけどね!」

「えっ」

「同じクラスなんだよ、私たち」




そう言われて、思い浮かべる。
自己紹介をしたときに教卓の側から眺めた光景。



そのなかに道枝さんの姿は…………だめだ、思い出せない。

とにもかくにも緊張でいっぱいで、頭がまっしろで、クラスメイトのみんなの顔をじっくり見ていられる余裕もなくて。




「ご、ごめんなさい……」