狼くん、ふれるなキケン!



とつぜん目の前で繰り広げられる口論。

きゅうに騒がしくなって、これはいったい……。


立つべきポジションを見失って、ひとまずまやくんと現れた女の子の言い争いを大人しく見学していることにする。


すると。




「近原さんっ、大丈夫だった!?」




ぐるんっ、と勢いよくこちらを振り返った女の子。

はしっと私の両手を掴んで、上下にぶんぶん揺さぶる。




「え、えと……」

「真矢に何もされてないっ? 触られたりしてないっ?」

「は、はあ……」




あいまいに頷くと、ほっとしたように女の子は表情を柔らかくした。




「ならよかった……!」




ええと。
彼女は走ってここまで駆けつけて……?

もしかして、私とまやくんを追いかけて……?

それで、今安心して息をついていて……、ってことは。




「ありがとうございます……?」





首を傾げながら、お礼を言う。



まだよくわかっていないけれど、彼女はまやくんから私を助けようとしてくれたのかもしれないと思って。