待って、なにそれ。
何だそれ、聞き捨てならない。
「ちょっとっ! 狼くん、私の話聞いてましたっ?」
「は?」
「昨日もっ、それからその前もっ、私、散々言ったつもりなんですけど……っ!」
湿っぽい空気が霧散していく。
でも、だって、言わせてほしい。
「私、狼くんのことが好きです、大好きなんです……っ! “きらい” なんて、ただの一度も、一度たりとも思ったことない……っ!」
「っ、は?」
目を丸くする狼くん。
鳩が豆鉄砲をくらったかのような表情をしているけれど、そんなのこっちの話だもん。
「なんでそんなことになってるのかわからないですけど……っ。私、狼くんにそんなこと言ったことありましたかっ?」
ぜったい、ない。
冗談の範囲でならあるとは思うけれど、本気で言ったことなんて、喧嘩をしているときでさえないはずだ。
なのに、どうしてそんな勘違いするの。
むっと眉を寄せて狼くんを見つめていると、狼くんは少し考えて……それから、まだ、訝しげに。



