「え……」
まやくんがそんなことを言うから、ひととおり。
つま先の方からつつつ……と視線で自分の姿を確認してみたけれど、ぜんぜんそんなことなかった。
もちろん、あちこち成長しているとは思うけど、まやくんほど変わってない、根本的なところは昔となにも変わらない。
きょとんとする私にまやくんは、ははって声を上げて笑った。
「自分じゃわかんないでしょ」
「具体的にどのあたりが……?」
変わったの、って首を傾げると、まやくんはいたずらっぽく口角を上げて。
「可愛くなった、って言ってんの」
「……へ」
「ずいぶんとまあ、かわいく成長して帰ってきたね?」
「……っ!?」
急に変なことを言い出す。
慌てふためく私とは対照的に、まやくんは顔色ひとつ変えてない。
「からかわないでください!」
かわいい、なんて言われ慣れていないんだもん。
冗談でも真に受けてびっくりしてしまう。
もうやだ。
この数分間で気づいたのは、私の知らない10年の間に、まやくんはとんでもなく軽くてチャラチャラな男の子に成長しちゃったんだってこと。



