頬をふくらませてむくれていると、小雪ちゃんは紅茶のおかわりを注ぎながらにこっと微笑みかけてくれる。



「きっと、藤川くんだって今ごろ心配してるんじゃないかな」

「……そう、なんですかね」




自信はあんまりない。

だって、狼くんって私にあんまり興味ないと思う。




そんなことを考えて、またいじけていたら。

とつぜん、ピーンポーン、とインターホンの音が響いた。





「ちょっと出てくるね」




こんな時間にお客さま? もう、夜なのに。

ぱたぱたと足音を立てて、玄関に向かった小雪ちゃんを見送りながら首を傾げる。




ひとり取り残されると考えてしまうのは、狼くんのこと。

簡単に憂鬱な気分になってしまう。




狼くんは、今日、家にひとりでも平気なの?

……私は、平気じゃないよ、狼くんが一緒じゃないと。




だけど、逃げ出してきたのは私の方だ。

なんで飛び出してきてしまったんだろう、と今さら後悔して、またじわじわ目元があつくなってくる。