「そんなにアイツがいい?」
「っ、はい」
「……おれの、どこがアイツよりだめだった?」
そんなこと、考えたこともなかった。
ただ、私にわかることは。
「まやくんがだめなんじゃなくて、私が狼くんじゃなきゃだめなんです」
狼くんじゃなきゃ、だめだ。
優しいから? とくべつだから?
落ちつくから?
考えれば考えるほど、理由なんてないように思えてくる。逆にぜんぶが理由なんじゃないかと思ったりもする。
狼くんだから。
狼くんだから、こんな気持ちになるんだ。
狼くんだったから、私はこの街に帰ってきてまで会いたいと思った。狼くんだから好きなの。狼くんだから────
『出会わなきゃよかった』
突き放すようなあの言葉に、ここまで打ちのめされている。
「……大好き、なんです」
「そっか。……勝ち目ないね」
「ごめんなさい」
もう一度頭を下げると、「みじめになるからやめてくれない?」とまやくんがくすっと笑った。そして、今度はちょっと眉を寄せて。
「そんなに苦しくて、やめたくならないの?」
「やめたくても、やめられないんですよ」
「ふ、重たいねー」
たしかに、そうとう重たいのかもしれない。
その重たさがだめなのかな、なんて思っていると。
「いいんじゃない、アイツもかなり重たいだろーし」
「え」
「お似合いなんじゃねーの」
「へ……っ?」



