狼くん、ふれるなキケン!



「へ……?」

「覚えてないの? おれのこと」



からかうような口ぶりで言うから、口から出まかせなのか本気で言ってるのか、ちっともわからない。


けれど、きっとからかってるんだと思う。


だって、私は今日転校してきたばかり、初対面だし、心当たりだって全然ないし……。




「……冗談、ですよね?」




いちおう、確認をとる。
と、彼は不服そうに口をとがらせた。




「やだなあ、おれたちあーんなことやこーんなことまでした仲じゃん」

「あんなこと?」

「一緒に寝たじゃん、ハダカの付き合いってやつ」

「……!?!?」




思わず、ぴょんと真後ろに飛び退いた。



冗談で言ってるとしても、ありえないありえない……!

眉をぎゅっと寄せる私に、目の前の彼はへらりと笑う。




「言っとくけど、うそでもじょーだんでもないよ」

「な、そんなわけ……っ」

「ちゃんとよーく見てみなよ、おれのこと、ほんとに忘れちゃった?」





確かめさせるみたいに、前かがみ。
私のほうに顔を近づけてくる。