からかい100パーセントなんだから、取り合ってもむだ、と無反応でいたのだけれど。桜くんは、私ではなく狼くんにじっと視線を向けている。


てっきりからかわれているのは私だと思っていたのだけれど、ちがったみたい。

じゃあ、その矛先は……。




「あは、狼、ひなとふたりで何してたんだって思ってるだろ」

「……別に」

「気になる? 何してたか」

「……」




桜くんの問いかけに黙りこんでしまう狼くん。
その横顔が、ちょっとフキゲンだ。


でも、別に。

桜くんと私が何してたかって、それはそんなに大したことではなく────。




「お勉強を教わってたんですよ、桜くんに」

「ちょっとひな、ネタバレしたらだめじゃん」

「えっ」




ネタバレ……って言うほどなのっ?

唖然とすると、その私の反応を見て桜くんは、ふっと吹き出した。




「勉強?」




対する狼くんは訝しげに首を傾げている。