狼くん、ふれるなキケン!



もう末期なのかもしれない。

だって、いやじゃないと思ってしまったの。
思い合っているわけでもない、一方通行のままなのにこんな風にふれられても、いやだとは少しも思えなくて。


うう、私けっこうふしだらな女なのかもしれない……。




「ひな」

「……っ、う」





鎖骨を甘やかすみたいに、つうと指先でなぞられて、ぞわぞわと背中が粟立った。



恥ずかしいのに、抵抗できなくて、それがもっと恥ずかしい。

余裕をうばわれているのは、きっと私のほうだけで、狼くんは余裕なままなんだって思ったら、そのことも恥ずかしい。




「ひゃ……っ、ん、ぁ」

「声、うるさい」

「だって! だって、狼くんが……っ、ふ」





今度は裾のほうから忍び込んできた無骨な手が、脇腹のあたりの弱いところを的確にくすぐるから。


悲しいとかつらいとか、嬉しいとか、そのどれでもない、今まで流したことのない種類の涙がじわっと浮かんでくる。




「……っ、は」




ふいに殺した吐息をこぼした狼くんが、あんまりにも熱っぽい目をしているから、つい。


つい、誘われてしまって。




上半身を起こす、ふれればいいと思った。
私の唇と狼くんの……。


ふれたいと、思った、のに。






「……っ、んむ……!?」