「なんで……っ」
「なんで、ってこっちが逆に聞きたいんだけど」
まっすぐ見つめる私から、狼くんは目を逸らす。
「ひなは何もわかってない」
「わ、わかってます……っ」
「何がだよ」
「そ、れは……」
口から出まかせ、そんなことはすぐに見抜かれてしまう。
言葉に詰まる私に、狼くんは、ほらやっぱり、って顔をして。
「どうせ、ひなには絶対わかんないから」
「……っ」
明確に線引きをされたことに息を呑んだ。
「────部屋に入るなって言ったのも、さわるなって言ったのも、誰のためだと思ってんの」
「え……っ?」
誰のため、って。
そんなの狼くん自身のためじゃ、ないの……?
私となるべく近づきたくないから、目障りだから……。
違うの?
だったら。
「私のため、ですか……?」
呟いて、ふと思い出した。
『男と同じ家でふたりで生活するって、どういうことかちょっとくらいは考えろよ』
『飢えてたら、気持ちがなくても誰にだってできんだよ、こーいうこと』
ふたりでの同居がはじまったときに忠告されたこと。
……もしかして、だからなの?



