いそいそと自分の部屋を抜け出して、隣の部屋の前に立つ。
コンコンコン、3回ノック。
返事はない、けれど……。
「……あの、狼くん」
許可なくドアを押し開けると、狼くんがあきれたような視線をこっちに向ける。
「……まだ寝てなかったのかよ」
「なかなか寝つけなくて……」
「何しにきたの」
狼くんの問いかけに、部屋から持ち出してきたまくらをぎゅうっと胸の前で抱きしめる。
「あの、狼くんに折り入ってお願いが、あって」
「……」
「今日だけ、今日だけ……、一緒に寝てもいいですか」
「────は?」
拒絶、というよりは、純粋にびっくりしたような声。
そう、最終奥義とは “狼くんに一緒に寝てもらうこと”。だって、狼くんがいれば、ゾンビなんてこわくないもん。
どうしても、ゆるしてほしくて、言葉を重ねる。
「あの、部屋に入るのだめだってわかってます……っ、でも、今日ほんとに眠れなくて、だから……っ」
重ねた言葉に、狼くんは思いっきり顔をしかめた。
「……いや、無理に決まってるだろ」
「でもっ」
「“でも” じゃねーよ、ふつうに無理」



