狼くん、ふれるなキケン!







狼くんがいつにもまして冷たい。


『あっそ』とか『へえ』だとか、せめてもの相槌を打ってくれたらいいのに、それさえもなくて……。



家に帰ってきて、一緒にごはんを食べて、順番にお風呂に入って……その間、ずっと私が一方的に話しかけていたのだけれど、ついに返事をくれることはなかった。




極寒狼くん。
冷たいを通り越して、氷みたい。




ここ最近、ここまでいないものとして扱われることなんてなかった。まるで狼くんに再会したはじめの日に後戻りしてしまったよう。




「……」

「……」




テレビの前のソファに並んで座っている。

……正確には、テレビを見はじめた狼くんの隣のスペースに私があとから乱入したのだけど。



だって、ちょっとでも狼くんの隣にいたいから。




テレビからは、さっきからずっと「ザシュッ」とか「バシュッ」とか悲鳴とか……不穏な音が流れていて、思わず耳を両手でふさいだ。




狼くんが見ているのは金曜シネマショーという、毎週金曜日に映画を一本放送する番組。


狼くんがこれを毎週金曜日の楽しみにしていることは、一緒に生活するなかで知ったことのひとつなの。




「ひ……っ」




画面にうつった、ショッキングなシーンに思わずひきつった悲鳴をあげてしまう。



────一緒に見ようと狼くんが誘ってくれることはないけれど、毎週勝手に狼くんの隣を陣取ってこの番組をみるのが私の楽しみ……でもあったのだけれど。



今日はそろそろだめかもしれない……っ!