狼くん、ふれるなキケン!




まやくんから奪うように、繋がれたほうの手のひらを強引に掴みとって引き寄せる。



やっぱり、ちがう。

強引でも、ふれ方が優しくなくても、相手が狼くんというだけで、ふれられたところからじんと甘く痺れていくの。



こんなにちょろくて単純だなんて、私もこんな私、知らなかった。




「ろ、うくん……っ?」




ぐいぐい腕をひかれて、ちぎれそう。

もつれそうになる足をなんとか狼くんにあわせて動かすと、どんどんまやくんから離れていく。



いつのまに奪い取ったのか、まやくんが持ってくれていた買い物袋は狼くんの手に渡っていた。





「あの、狼くん、どちらに……っ」

「……帰るに決まってんだろ」

「え、でも」




狼くんはどこかに向かおうとしてたんじゃないの……?


狼くんが私とまやくんの前に現れたのは、家のある方向からだった。から、どこかへ向かっている途中なんだって……。



思った、けど、違ったの?
じゃあ、どうして……。



それに、あんなにばったり出くわしたの、偶然にしてはできすぎている。





「ひなの帰る場所は、俺の家だろ、今は」

「……っ、はい!」





冷たい冷たい口調だけど、なんだか私と暮らしていることを認めてくれているみたいに聞こえて、勢いよく頷く。



すると、狼くんが、ため息をついた。


その横顔はさっきから、ずっと、不機嫌そうだ。