狼くん、ふれるなキケン!




「あ、そこの角を右です」

「おっけー」




まやくんは私の家────というか私が居候させてもらっている狼くんの家の場所を知らない。


案内しながら思ったのだけど、小雪ちゃんとまやくんの家からは学校をはさんで反対方向で、そうとう遠いんだよね……。


やっぱり、送ってもらうのは断るべきだったな、と今更反省する。




「ほんとに、ごめんなさい……」

「何のごめんなさい?」

「遠いですよね、これからまだまやくんは帰らなきゃなのに」

「言ったじゃん、へーきだって」

「でも」

「……それに」




繋がれた手に力がぐっとこもったような気がした。

それから、まやくんが息をすう音。




「ひなちゃん」

「……?」




まやくんを見上げる。
驚いた、いつもとはちがう、真剣な顔をしていたから。




「もし、おれが────」




その先に続くはずだった言葉は宵闇に溶けていく。



まやくんは、何かに気づいて言葉をとめた。

不愉快そうに眉をひそめて。




「タイミング、悪すぎ」




紡ぐはずだった言葉の代わりに、忌々しげに吐き捨てた瞬間。




「ひな」