「荷物も、ごめんなさい」
「ふ、なんで謝るのー?」
「だって、すごく重いのに……」
「それはひなちゃんにとって、でしょ」
この程度どうってことないって、まやくんはさげた袋を軽々しく持ち上げる。気遣い、とかじゃなくほんとうにそう思っているみたい。
「昔は泣き虫まやくんだったくせに、ずるいです」
「ほーんと、ひなちゃん言うようになったよねー」
当たり強くない? ってまやくんが苦笑する。
「そうそう、ゆっきーとずいぶん盛りあがってたみたいだけど、楽しかった?」
「はいっ、それはもうとっても! 小雪ちゃんと色々なお話ができてよかったです」
「ま、そうだろうねー。この短時間で呼び方まで変わってるくらいだし」
ひみつを共有したことによって一気に距離が縮んだ私たち。
それはもう……“おやくそく”の第5条に「同居のことは誰にも言わない」とあるのだから、狼くんへのそこはかとない罪悪感は否めないけれど、それでも。
嬉しかったの。
『ひなちゃんって呼んでもいいかな、それから私のことも “小雪” でいいからねっ』
名前で呼びあう友だちができたことも、狼くんのことを話すことができる友だちができたことも。
ずっと、だれかに聞いてほしかったのかもしれない。



