戸惑いいっぱいのまま、ぱちぱちと瞬きを繰りかえす私を差し置いてまやくんは、私の持っているカゴを指さす。
「すごい量じゃーん。おつかい?」
「う……そんなところです……」
「重そー、ひなちゃんには持てないんじゃない?」
「持てますからねっ、これくらい!」
「ほんとー? 見るからにひ弱そーなのに」
まやくんのいつものペースに呑みこまれてしまう。
ううん、おそらく、むりやりいつもの空気に持っていこうとしているんだ、まやくんが。
誰しもふれてほしくない秘密ごとがあるものだけれど、まやくんにとってのそれが、これなのかも。
道枝さんとまやくんの……関係。
やっぱり、むやみに聞きだしちゃだめなんだと思う。
だけど……っ、こんな場面に遭遇しちゃって、気になるものは気になる……っ。
「あの……っ」
「んー?」
「ええと、その……」
言葉選びに困ってしまって、ううう、と唸っていると、道枝さんがくすっと笑った。
「近原さん」
「はいっ」
「よかったら、うち来る?」