道枝さんに、まやくん……?

思わずぴたりと足をとめると。




「あれっ、もしかして近原さん?」




すぐ近くの角からカートを押しながらあらわれたのは、やっぱり道枝さんだった。

びっくりして固まる私に気づいた道枝さんの方から声をかけてくれる。




「はいっ、道枝さんも買いものに……?」

「ふふ。スーパーなんて、買いもの以外にすることないしね」




たしかにそうだ、聞くまでもなかった……と納得していると。




「ゆっきー、ポテチもよろ……って、ひなちゃん?」




続いて、道枝さんのうしろからひょっこり顔をのぞかせたのはまやくん。

やっぱり、さっきの声は聞き間違いじゃなかったんだ。




ぱちっとまやくんと目が合う。


まやくんは「なんでここにいるの」って言いたげな表情だけど、そんなのこっちのせりふに決まってる。




「ええっと……」




あたまが混乱してきた。

ええっと、どういうこと……?




どう見たって、この状況は、道枝さんとまやくんが一緒に買いものを────でも、ふたりは「天敵」同士で……?

それに買いものカゴの中身は、友だち同士で買いにくるものというよりは、日用品……むしろ、“家族” にちかい。