「おでこのところ、見せてください」
ん、と頭を傾けた狼くん。
そっとその前髪をかきあげると、痛々しくて生々しい傷があらわになった。
あんまりだ、こんなの。
そう思ったけれど、ぐっと唇を噛みしめてこらえる。とにかく先に手当てをしなきゃ。
救急箱からとりだしたコットンに消毒液をしみこませて、赤く染まった傷口をとんとんと拭うようにおさえる。
と、狼くんはきゅっと目を細めた。
「しみますか?」
「……べつに、へーき」
素直じゃないなあ、もう。
可愛げのない狼くんだ。
傷口の消毒を終えたあとは、空気にふれないようガーゼで覆っておく。ばんそうこうじゃ大きさが足りなかったの。
「やけに慣れてるな」
続けて腕の消毒をはじめる私の手つきをじっと見て、狼くんが呟いた。
慣れてるって、応急処置に……ってことかな。
「中学生のとき、保健委員だったんですよ。先生のお手伝いでこういうことには慣れてるんです」
「……あっそ」



