狼くん、ふれるなキケン!



見計らったように鳴り響いた扉の開く音。

ぱっと顔を上げて、入ってくる人影を視界に入れる。




「……! 狼く、」




呼びかけて、声がぴたりと止まる。
思わずごくっと息を呑んだ。


だって、狼くんが。





「っ、ひな」




私がぴしりと固まるのと同じように、なぜか狼くんも固まっている。



ツリ目のはずの狼くんの目が、余程びっくりしたのか、まんまるになっていた。ばちっと目が合って、数秒。

金縛りがとけたように、狼くんは後ろ手に扉を閉めて。





「は?」





低く唸るように、一音。
それから、私を脅すように睨んでくる。





「……なんで鍵かけてない?」

「なんでって、それは────」





“なんで” って狼くんが聞いてきたくせに、私が答えようとすると興味なさげに遮った。





「鍵もかけずに、そんなところで何してんだよ。さすがに危機感なさすぎだろ」




忠告、なんかじゃない。
怒っている。

そういう圧のあるトーンだった。