狼くん、ふれるなキケン!







「……まだかな、狼くん」




遅い。

私となるべく一緒にいたくないから遠回りして帰っているのかもしれない────けれど、それにしても、遅すぎる。



もう、外は真っ暗だよ。
夕方じゃない、すっかり夜だ。


窓の外にぽっかり浮かんだお月さまを見つけて、深く息をつく。





「狼くーん、こんな時間までなにしてるんですかー……」




呼びかけたって、もちろん返事はない。


今は現代、文明の利器────つまりはスマホで連絡をとればいいだけの話なのだけれど、残念ながらそれは不可能なのです。




だって、あの狼くんが私と連絡先を交換してくれると思う?




答えはもちろんノー。

でも、今思えばやっぱり意地でも交換しておくべきだった……!



仮にも同居生活をする上で、いざっていうときに連絡手段がないのはどう考えても不便だもん!




「はーあ……」




今さら嘆いたところで、文明の利器は使いものにはならない。

だからこうして、原始的に狼くんの帰りを待っているのだ。




部屋にいてもそわそわして落ちつかないから、玄関の前で体育座りして今か今かと待っている。


いつ帰ってきても大丈夫なように、鍵も開けてウェルカム体制はばっちりなのに。