「アイツがか弱い園児だったおれのこと、いつもいつも鬼の形相で睨みつけてケンカ売ってくるのが悪いんじゃん」
「あれは狼くんのナチュラルフェイスです! それに、“か弱い” なんてどの口で言うんですかっ、ずる賢かっただけですよね!?」
「えー?」
「いつも大げさに泣きマネしてたくせに、泣き虫まやくん……!」
「あはは、言ってくれるねー」
悪びれずににやにやするまやくん、唇をとがらせる私。
不思議そうに見比べたあと、道枝さんは「……どういうこと?」と首を傾げた。
つまりはこういうことなのだ。
幼い頃から今と変わらないコワモテだった狼くんは、幼稚園の先生にも同級生たちにもフキゲンだとか怒ってるだとか、勘違いされることが多かったの。
さっきまやくんに言った言葉のとおり、狼くんは生まれつきそういう顔だから、フキゲンでも怒ってるわけでもケンカを売ってるわけでもなかったのだけど、とにかく誤解されてばかりで。
たいてい、狼くんを誤解したままみんな離れていってしまうのだけど、まやくんだけは特殊────いや、やっかいだった。



