「じゃあ、いただきまーす!」

「いただきます……!」




道枝さんと、ふたり同時に手を合わせる。



お昼やすみ、お弁当を食べようと準備していたら、道枝さんが「よかったら一緒に食べない?」と誘ってくれたの。



転校してきたばかりで、まだお昼をともにするような友だちもいない私には願ったり叶ったりの提案で、ありがたく頷いた。


教室の片隅、机をぴったりくっつけて向かい合っている。




「……!」




どきどきしながら、お弁当のふたをぱかりと開けると。




「わ、近原さんのお弁当、具だくさんだね〜」





現れたのは、思ったよりちゃんとしたお弁当でびっくりしちゃった。



今日の家事当番は狼くん。
ふたり分のお弁当を作ってくれたのも狼くんなの。



狼くん、私に当たりが強いから、日の丸弁当だったらどうしようかとひそかに心配していたんだけれど。

さすがにそこまでイジワルなわけではなかったみたい、とほっと胸をなでおろす。