「お前だろ、コレ」
びっくりした。
まやくんがさっきまでとぜんぜんちがう、低い声を出したから。
それで、指先をくいっと私の制服の襟にひっかける。まるで狼くんに見せつけるかのように。
それで、まやくんは威嚇するみたいにすうっと目を細めた。
「……関係ない」
「……!」
狼くん、喋った。
驚いて目を見開く。
やっぱりまやくんに遮られていて狼くんの姿は少しも見えないけれど。
「カンケーない? こんな見えやすいとこにつけといてよく言う」
「……俺じゃない」
「あっそ。ならべつに俺がひなちゃんに何しようがカンケーないってことだ」
ふたりの表情はこっちからは全然みえない。
けれど、口調とそれから空気。
ぴりぴりして、なんだかばちばち、静電気みたいな火花が散っているような気がする。
「……」
少し間があいて、ため息の音がはっきり聞こえた。
この感じは……狼くんのもの。



