「……っ」
からかう調子で、鼻先がぶつかりそうなくらい顔を近づけたまやくん。
あまりの至近距離にぎゅっと目を瞑ると、なぜかまやくんはくはっと可笑しそうに笑う。
吐息が鼻にかかって、びっくりした。
ほんとに近い……!
まやくんのパーソナルスペースの感覚は今日も今日とておかしいみたいだ。
「あー、そーゆーこと」
「へ……?」
慌てる私なんてお構いなしに、きゅうに納得したように声をあげたまやくんは、心なしかスッキリした表情を浮かべている。
戸惑う私の頬を指でつんつんと突いて。
「藤川狼、悪人ヅラのくせして、思ったよりぜんっぜんわかりやすいねー」
「……? 狼くんはべつに悪人じゃないですよ?」
「はは、おもしろ。そこで、ひなちゃんはあいつのこと庇っちゃうのかー」



