────狼くんだったら、いいのに。
衝動的に強く、思った。
私、狼くんなら、全然いい。
そばにいるのも、ふれるのも、ふれられるのも。
手をつないだり、ぎゅーしたり……、たとえばまやくんが言うように、この痕がほんとうにキスマークなら。
狼くんがつけたものだったら、いやじゃない。
むしろ、私にとって “とくべつな誰か” が狼くんだったら……っ。
「……あ」
ふと、まやくんが渡り廊下の向こう岸を見て声をあげた。
「……?」
「藤川狼」
「え……っ」
まやくんが口にした名前に、思わずぼっと顔に火がついた。
だって、今まさに狼くんのことを考えていたんだもん。
それも、もしも狼くんと……なんてちょっと破廉恥な内容だったから。
慌てて、まやくんの視線の先を振り向く、と。
「……っ、狼くん」



