「あーれ、今だれかのこと思い浮かべなかった?」
「っ、浮かべてないです……!」
図星をさされてびくっとする。
やっぱり、まやくんって妙なところでするどいな。
だけど、狼くんの線はナイに等しい。
首をふって否定しながら思えてきた、やっぱりこれがキスマークだなんて信じられない。
まやくんの間違いなんじゃないかな。
だから。
「もうこの話はいったん終了で……!」
「ごまかして逃げるつもりー?」
「ちがっ、もうすぐ授業もはじまっちゃうし……っ」
タイミングよく鳴り響いた、授業開始5分前を告げる予鈴のベルにかこつける。
でも、ほんとうに、はぐらかそうとしたわけじゃないもん。
絶対にちがうから……狼くんは。
それでなくても狼くんにしっかり口止めされてるんだもの、今一緒に暮らしてるってことは、誰にも言えない。
そこまで考えて、どんどん気持ちが沈んでいってしまう。
寂しいし、悲しい、どうしても。



