「ふーっ」
段ボールの中身を半分くらい……きりのいいところまで整理し終えたところで、手をとめて、ぐっと伸びをした。
なんだか疲れちゃったみたい。
今日は朝早くから、新幹線、それから電車────っていろいろ乗り継いで来たもんね。
とりあえず片付けはこのあたりにしておこうかな。今日のところは。
また明日続きをしよう。
「……!」
ちょうどそのタイミングで、1階から食欲をさそうようないい匂いが漂ってきた。
ちなみに、私の部屋、それから狼くんの部屋は2階にある。仕切りは壁1枚、隣同士だよ。
そういえば、お腹ぺこぺこだ……なんて考えながら、匂いにつられて下の階に降りてくると、キッチンの方から狼くんママに声をかけられる。
「あら〜? ひなちゃん?」
「はいっ」
返事をすると、狼くんママはひょこっと顔を覗かせた。
「ちょうどいいタイミングだわ〜! 今、夕食の準備ができたところなの」



