「ひな」
知らない、ぜんぶ、ひなのせい。
無防備にあらわになっている、白くて無垢な首筋。
湧き上がってくる衝動のままに顔を寄せて────がぶり、と思いきり噛みつく。
噛みついた痕を、舌でなぞって、また強く吸う。艶かしい水音をわざとらしく立てて、唇を離した。
視界にうつるのは、ぷつんと切れた銀糸とひなの白い肌に咲いたばかりの紅い花。
けっして、うつくしくはない劣情の証拠。
眠っているとはいえ、まったくの無抵抗だったひなに、少しの罪悪感と、それから。
ひな。
「……俺のこと、嫌いじゃなかったの」
ずっと振り回されてるのは俺の方だ。