「さすがにピーマンの肉詰めにマヨはないです……!」
私の味覚がへんになっちゃったのかと思ってた。けれど、味覚がバグっていたのは狼くんのほうなのかも。
聞いたことない、肉詰めにマヨネーズなんて。
ありえないって主張する私に、狼くんはちょっとばつの悪そうな顔をした。
どうしてそんな顔するのって思って。
一瞬のち、はっとする。
そういえば、狼くんって。
「狼くん、もしかしてピーマン……苦手、ですか?」
おそるおそる尋ねた。
ぎろりと睨まれることも覚悟の上で、だったけれど、狼くんは苦虫を噛みつぶしたように黙ったまま。
どうやら図星、みたい。
幼い頃のこと、覚えている記憶は狼くんとのことばかり。
だけど、全部が全部はっきりと覚えていられるはずもない。だって10年も経っているんだもん、思い出にももやはかかっている。
これも、そのうちのひとつ。



