四時間目のチャイムが鳴り終わった瞬間、梨亜が戻ってきた。

「ごめんね・・・・・・少しやることがあって」
「やることって何だ?」
「ないしょ!」

梨亜はこう言ったときは絶対に教えてくれないんだよな。
最近では一切問わないことにしている。

「ねぇねぇ、灯里はやっぱり氷堂君と何かあったでしょ?」
「何もないよ」
「絶対に嘘だ」

何かいつもよりイキイキしているような、そうでもないような・・・・・・。
どうしてそこまで気になるのか。

「氷堂君が体育のときずっと灯里の方を見ていたよ」

女子がテニスをしていた横で男子も同じくテニスをやっていた。
だけど俺全く気づかなかったんだが・・・・・・。

「あと、西原さんに勝っていたとき氷堂君すごい笑ってた」

どれだけ見てたんだ。
授業に集中しろよな。
俺は頭の中でそんなことを考えながら梨亜の方を見た。
そこには楽しそうとは一変して、悲しそうな顔をする梨亜がいた。
だがそれは一瞬のことで気のせいだと思った。