午前11時。
ある一軒家に一つの家族が住んでいました。
父と母、そして双子の兄妹です。
父は仕事に行き、母は昼ごはんの準備、双子の兄は部活をしに学校へ、妹は家でくつろいでいる。

「あっ、海里ったらお弁当を忘れているわ」

突然母は困ったような声で言う。

「どうしたの?」

妹の灯里は母の方へ行きどうしたのかと聞く。

「あのね、海里がお弁当を忘れて行ったみたいなの。学校まで届けてくれない?」
「んー、いいよ」
「ありがとう」

灯里は着替えてから家を出て歩いて行く。
20分ほどして、二人が通っている中学校に着いた。
グラウンドを覗くと丁度午前中の練習が終わったところだった。

「おっ、どうしたんだ灯里?」

海里は灯里に気付いて駆け寄ってくる。

「これ」

お弁当を海里の目の前に見せた。

「サンキュー!昼飯抜きになるところだった」
「うわっ、いいなー」

二人の間に入ってきたのは海里の友達である。

「何がだよ」
「こんなに可愛い子に弁当持ってきてもらえるんだぜ。羨ましいに決まってるだろ」