「そうかな?」

 褒められると悪い気はしない。アイリスは嬉しくなってはにかんだ。

「第五師団の奴らは呑気でいいよな」

 後ろから呆れたような声が聞こえて振り返ると、同期のジェフリーが少し小馬鹿にするようにこちらを見ていた。ジェフリーの配属は新人の中では特に人気の高い第一師団だ。

 最初こそ嫌みを言われる度にムッとしていたアイリスだったが、どうやらジェフリーは自分と同じ名門騎士家系出身であるアイリスにライバル心を燃やしているだけだとわかってからはさほど気にならなくなった。

「なんだと? おい、待てよ」

 相変わらずの様子にカインが眉を寄せてジェフリーを呼び止めようとする。