カインは元々騎士とは全く関係のない平民だが、どうせなら夢は高く持とうと自己流で訓練を重ね、騎士団の入団試験を受験したという。皇都から少し離れた田舎町に幼馴染みの恋人がおり、仕事に慣れてきたら皇都に彼女を呼び寄せたいとよく話してくれた。

 そして、いつかは故郷を守る騎士団の幹部になりたいと夢を語っていた。

 自己流で剣を扱い始めてたった数年でここまで伸びるとは、元々騎士としての素質があったのだろう。最近は大きな体を活かして益々打撃が力強くなってきた。
 レオナルドに朝稽古を付けて貰って慣れているからなんとか受け止められるが、そうでなかったら体重の軽いアイリスは今頃吹き飛ばされていたかもしれない。

「ディーンは剣がぶれなくなったな。以前は力で押されてぶれることが多かったけど、最近うまく流すようになったよな」

 今度はカインがアイリスのよくなったところを褒める。