レオナルドは頭の後ろで手を組んで天井を眺めた。

 一体あの少女は何者だろうか。
 舞踏会会場で会ったのだから、貴族の娘だ。
 あの若さであれだけの使い手でありながら、噂ひとつ聞いたことがない。

 先ほどの少女のことが気になってたまらない。
 異性に興味のないレオナルドにはこれまでなかったことだ。女性に対して〝美しい〟と感じたのも初めてだった。