──いけるっ!

 一瞬の隙を見つけ剣を下ろした瞬間、相手が身を捩って僅差で避けられる。アイリスの剣は宙を斬り、代わりに腹に鋭い痛みを感じた。

「勝負あり」

 見学していた幹部達が何かを囁き合う。今の剣技で配属先の審査をしているのだ。

「……ありがとうございました」

 アイリスは自らの不甲斐なさに俯くと、唇を噛んだのだった。