「いらっしゃいませ!」

 入り口をあけるとチリンとベルが鳴り、それに合わせて明るい声が聞こえてきた。
 カウンター越しにこちらを見つめるのは、ふわふわの金髪にピンク色の瞳という見たこともない色合いの髪と瞳をした可愛らしい女性だった。
 小柄な体格がまるで小動物を思わせ幼く見えるが、落ち着いた雰囲気から判断すると実際の年齢はアイリスより上かもしれない。

「はじめてのお客さまね。今日はどうしましたか?」
「あの、私ではなくって弟なんですけれど──」
「弟さん? 風邪でもひいたの?」
「風邪ではなくて──」

 アイリスは、ディーンの症状を話した。

 食欲がなく、常に怠いと倦怠感を訴えること。
 胃が重く、歩くとしんどさを感じること。
 段々と痩せてきて、最近はベッドから起き上がることもままならなくなってきていること。