崖っぷち令嬢が男装したら、騎士団長に溺愛されました

 一方のレオナルドは、請われるがままにざっと髪飾りを眺めた。

 正直言って、どれも同じに見えた。
 細かい紋が入っており、宝石が沢山埋め込まれている。

「これはどうだ?」

 じっと考え込んでいたレオナルドは、ひとつを手に取る。

 それは、簪タイプの髪飾りだった。
 端には金細工のアイリスの花が施され、その周囲には金剛石が惜しげもなく飾られている。

 ──お、なかなかいいセレクトをしたじゃないか!

 部屋の端でハラハラしながら二人を見守っていたカールは、心の中で賞賛を贈る。「どれでもいい」などと女心を全く理解しない発言も、レオナルドならばあり得ると心配していたのだ。

 しかし、次にレオナルドが続けた言葉に「あ、やっぱりダメだった」と絶望する。