崖っぷち令嬢が男装したら、騎士団長に溺愛されました

 カールは頬をひくつかせると、手を口元に当てる。

「信じられない。天変地異が起こるかも……」

 まさかこの男からこんな台詞を聞く日がくるとは、夢にも思っていなかった。
 これも、恋心がなせる技なのか。

 そのときだ。
 一人で髪飾りを眺めていたアイリスが、少し困ったようにこちらを振り返った。

「レオナルド閣下。迷っているので、一緒に選んではいただけませんか?」
「ああ、わかった」

 レオナルドはアイリスの隣に歩み寄る。
 アイリスは、レオナルドがどれを選んでくれるのかと期待に満ちた目で見守っていた。