崖っぷち令嬢が男装したら、騎士団長に溺愛されました

「駄目だ。それと、アイリスは昔から綺麗だ。最近ではない」
 
 レオナルドは不愉快げな表情でカールを睨み付ける。

「…………。お前、昨日の今日で完全にキャラが変わってないか?」

 誰だこいつ。
 俺の知るレオナルドはこんなことを言う男ではないはずだ。

 そんな感情を乗せたカールの眼差しに、レオナルドは眉を寄せた。

「変わっていない」

 事実、レオナルドは何も変わっていない。
 周りの男のようにお世辞を言うこともなければ、必要以上に甘く微笑むこともしない。うそ偽りない事実を告げているだけなのだ。

「あっ、そう……」