カールは表情を引き攣らせる。
 恋人の可愛らしさを思い出した笑みと言うよりは、部下の成長を喜ぶ顔にしか見えない。

 そして、嫌な予感がした。これは、もしかして──。

「つかぬ事を聞くけど、デート──二人でお出かけは?」
「お出かけ? 先日、ワイバーンに乗って国境地帯の視察に行くのに一緒に連れて行った」
「ワイバーンは相乗り?」
「むろん、別々だ。軍においては、重傷者の輸送を除きワイバーンの相乗りなどしない」

 何を当たり前のことをと言いたげに淡々と答えるレオナルドを前に、カールは額に手を当てた。

「贈り物とかは? ドレスとか、宝石とか」
「贈っていない」
「……本気か!?」